富士山導火線

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「あれ?何だろう?この紐?」
「あ!それは駄目だ!」

物陰から伸びる紐に手を伸ばすと先輩が大声を出した。

「危ない危ない。またこんなところに導火線を伸ばして……。」
「導火線?」
「そう。これは富士山の導火線なんだ。」
「富士山?!」

信じられない事だがそれは富士山の導火線らしい。富士山は最近こういう悪戯をするそうで、長年無言な事に飽きて妙な場所に導火線を伸ばして遊んでいるらしい。下手に火がついたらどうなるか、想像しただけでチビってしまう。

「お?この紐なんだ?」

後ろで宮下の声がする。ハッと振り向いたが遅かった。奴は思い切りその紐を引っ張っていた。

ドーンッ!!

地響きと共に大きな破裂音。
血の気が引いた。

「良かった……。導火線じゃなくて蒸気噴火クラッカーの紐だったみたいだ……。」

慌てて窓から外を見た先輩が安堵のため息をつく。窓の外にはひらひらと紙吹雪が舞っていた。
SF
公開:24/09/14 12:24
更新:24/09/14 12:35

ぽんず

ぽんずとかねぎとか薬味と調味料。
(たまに作品整理をします。整理したSSはNovelDays等にあります)
http://lit.link/misonegi

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