止められない趣味

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 懐かしい記憶と共に残っている人たちの写真が壁一面に所狭しと貼られている。ここは僕だけの秘密の部屋。僕以外には誰も入ったことのない部屋だ。嫌なことがあったり、どうしようもなく落ち込んだ時に必ずこの部屋に来る。心を癒しリフレッシュして再度仕事に励むためのエネルギーをチャージできるから。

 思い出の写真を眺めていると、一枚一枚写真を撮った時のシーンが僕の頭の中でよみがえり、まるで一つの映画を見ているようだ。

 写真に写っている人で目を開けている人はいない。みんな静かに目を閉じている。だから僕は写真の人物から見つめ返されることもない。なんという快感と征服感だろうか。

 まだ少しだけ壁に余白がある。できるだけ早く余白を写真で埋めて天井や床まで思い出の写真で埋め尽くしたい。そして部屋の真ん中に寝転がって鑑賞したい。そのためにも今日も頑張らなければ。僕に残された時間はあと僅かしかないのだから。
ホラー
公開:24/09/14 12:04

松浦照葉( 福岡県 )

IT業界を卒業し、小説執筆中です。
普段はnoteでショートショートを投稿しながら、AmazonとAppleと楽天で小説、実用書の電子書籍を販売中です。
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