月地

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「昔、魚市場があった東京の築地が有名でしたが、今は月にある『月地』が話題沸騰です」
不動産屋のセールスマンが流暢に語り始めた。
「自家用ロケットで行く月旅行が大人気ですが、月は軽井沢と並ぶ別荘地の宝庫とされています。
月にはまだまだ土地が多く余っており、月で分譲された土地なので『月地』と呼ばれています。
ただ、土地が余っているといっても世界中の富裕層や投資家が殺到して月地の争奪戦となっており、地価もうなぎのぼり、月はバブル状態になっています。
そうなると、地面師ならぬ月面師のような輩も横行し、ムーンパトロール(月警察)が取り締まり中です。
今回は、月地の中でもまだ手付かずの掘り出し物件をご紹介したいと存じますので、皆様をロケットバスで地球から月までご案内させていただきます。
当社は月面師などの悪党ではございませんので、安心して見学ツアーにご参加ください。
そろそろお時間ですので出発します」
その他
公開:24/09/14 06:14
魚市場 築地 不動産屋 ロケット 旅行 軽井沢 別荘地 土地 地面師

SHUZO( 東京 )

1975年奈良県生駒市生まれ。奈良市で育つ。同志社大学経済学部卒業、慶応義塾大学大学院政策・メディア研究科修了。
田丸雅智先生の作品に衝撃を受け、通勤中や休日などで創作活動に励む。
『ショートショートガーデン』で初めて自作「ネコカー」(2019年6月13日)を発表。
読んでくださった方の琴線に触れるような作品を紡ぎだすことが目標。
2022年3月26日に東京・駒場の日本近代文学館で行われた『ショートショート朗読ライブ』にて自作「寝溜め袋」「仕掛け絵本」「大輪の虹列車」が採用される。

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