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私が働いていたカフェには、毎朝八時きっかりに現れるおじさまがいた。
扉のベルがカランと鳴り、レジに到着するまでに、オリジナルコーヒーを準備しておく。おじさまは「いつものを」と、カウンターに代金を並べるので、すぐさまカップを差し出す。
これはしきたりのようなものだったけど、ある日、新人バイトさんがわざと違うコーヒーを出してしまった。異変は直後に起きた。店中の窓がガラッと開け放たれ、凄まじい風が吹き込んできたのだ。
厨房の柱に掴まりながらおじさまに目を向けると、いつも柔和な顔が鬼の形相になっていた。
「嘘偽りは真実の瞳を曇らせる。信用なきこの店はもう終いだ」
呪詛じみたおじさまの言葉が辺りに響き渡り、気がつくと、なにもない林のなかに放り出されていた。後で知ったことだけど、神さま御用達のカフェだったそうだ。
おじさまがどこか別の店で美味しいコーヒーを飲めていたらいいなと願っている。
扉のベルがカランと鳴り、レジに到着するまでに、オリジナルコーヒーを準備しておく。おじさまは「いつものを」と、カウンターに代金を並べるので、すぐさまカップを差し出す。
これはしきたりのようなものだったけど、ある日、新人バイトさんがわざと違うコーヒーを出してしまった。異変は直後に起きた。店中の窓がガラッと開け放たれ、凄まじい風が吹き込んできたのだ。
厨房の柱に掴まりながらおじさまに目を向けると、いつも柔和な顔が鬼の形相になっていた。
「嘘偽りは真実の瞳を曇らせる。信用なきこの店はもう終いだ」
呪詛じみたおじさまの言葉が辺りに響き渡り、気がつくと、なにもない林のなかに放り出されていた。後で知ったことだけど、神さま御用達のカフェだったそうだ。
おじさまがどこか別の店で美味しいコーヒーを飲めていたらいいなと願っている。
ファンタジー
公開:24/09/09 09:46
☆やコメントありがとうございます✨
以前のアカウントにログインできなくなってしまい、つくりなおしました。
清流の国ぎふショートショート文芸賞 入選
ときどき短編〜長編も書いています(別名義もあります)
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