怪犬（かいいぬ）

父が犬？を連れて帰宅した。
それは多分犬だ。前から犬を飼いたいとお願いしていた私。思っていた犬と違うけど、まあいいか。
「ちゃんとお世話するんだよ」と父。
私は早速、犬の飼い方を勉強し始めた。犬を見ると私の学校の勉強を始めた。
…やっぱりこの犬、何か変だ。普通の犬は勉強なんてしない。でも、宿題をやってくれるのは正直助かる。
最初は間違いだらけだったけど１カ月もすると正解も増えたし、字も綺麗になった。
ペットは飼い主に似るらしい。飼い始めて半年。犬は私と同じ大きさになった。憧れの大型犬だけど、ちょっと怖い…
だってこの犬、どんどん私に似てきているんだもの。最近では二足歩行を始め、鳴き声ではなく言葉で意思表示するようになった。
私と同じ背丈、同じ筆跡に同じ声。そんな犬がおもむろに自分の毛を剃り始めた。
毛を剃った犬は私と瓜二つで、犬は剃った毛を私に植え付けると私に成り代わり、私の怪主となった。