満ち満ちる

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60年来の親友が亡くなり、その葬儀に参列した時の話です。
彼女の孫が「祖母が貴女に渡すように…」と言って私に1枚の便箋と1本の色鉛筆を渡してきました。
家に帰って読んでみると、そこには思い出と別れの言葉が綴られていました。
その便箋を、私はあろうことか黒の鉛筆で塗り潰しました。真っ黒に染まった便箋の中、塗り潰れなかった文字がいくつか浮き彫りになります。
『私も、貴女と同じ想いを抱いていました』
繋ぎ合わせた文字が生む一文に、私の目からは涙が溢れ、止まりません。
私は親友に恋慕の感情を抱いていたのです。ですが私達の若い頃は同性愛はおろか自由恋愛すら許されない時代…
それ故、私は自身の想いをずっとひた隠しにしていました。親友はそれに気付いていたんですね。
彼女の孫が渡してきた色鉛筆は無色鉛筆。何物にも染まらぬ、秘めたる想いを綴る為の色のない鉛筆。
この日、60年来の私の恋が悲しくも実りました。
公開:24/09/09 21:06

幸運な野良猫

yahoo!サーバーに問題が発生したらしく2022年9月1日より2週間入れなかったので新規にアカウント取得。
半年以上毎日Yahoo!IDでログインを試みるも、現在進行形でログインできない状態です。#EY003って何だ?
運営に報告するも、ずっと無視されております。自動応答メールだけが返ってくる…1年経過で、もう諦めた…

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