満ち満ちる

僕の妻は隠し事が下手である。そのせいで仕事では困る事も多いそうだ。
そんな妻に僕は隠し事を隠し味に変えられる小瓶をプレゼントした。
その甲斐あって、ここ最近妻の料理は凄く美味しい。
「隠し事が何かは言えないけど、隠し味としては最高ね」
甘酸っぱいソース。これは生徒の恋の隠し事かな？
妻は小学校で教鞭を振るっている。だからこその味である。
同時に辛いソースは辛い人間関係から来るものかな？聞かない方がいいだろう…
妻は時々隠し味を顔に塗っている。大丈夫なのか？
「最近は美容に使える調味料もあるのよ。それに、秘密がある方が女は綺麗に見えるでしょ？」
確かに、今の妻はミステリアスな雰囲気があってドキッとさせられる。
ところで、部屋の隅の大量の小瓶。あれは使わないの？
「それは私が墓場まで持って行く隠し事だから…凄くマズいの」
満っち満ちな小瓶を見て、やっぱり教師って大変な仕事なんだなと思った。