満ち満ちる

小学校の図書室で百物語の本を見つけた私は、その内容にがっかりした。
話のつくりは悪くないけどまったく怖くない。だからホラーが大好きな私は次々と話を書き足していく。
この本、私以外の誰も借りない。まるで私を待っているかのように私だけが借りられる。
そしてついに来た百こ目の話。その話はこれまでの話と毛色が違っていた。
学校の図書室で一人、怖い話を書き続ける生徒の話。
その生徒は私によく似ていた…似ているなんてものじゃない。私そのものだ。そこには私が書かれていた。
もうこれ以上読んではいけない。でも、手が止まらない。
『もっと、こわいの、ちょうだい』
それだけ書かれたページが白い腕となり、私を本の中へと引きずり込む。
こうして私はこの学校の百物語になりました。
そこで初めて知りました。私以外にも百物語になった生徒は各学校にいたんです。
そんな生徒達と仲良くなれた私。百物語になるのも悪くないです。