敗北型ロボット

「工場長、本日は新型ロボットを紹介します。貴社の製造ラインにきっとお役に立てます」
「うん、特徴は？」
「ラインの組立、検査などすぐに設定します」
「それで？」
「特徴は、ラインの他のロボットと速度や精度で競争を始めるんです。効率が上がります」
「生産効率は設定済みだが」
「ロボットにも意志があります。競争に負けまいと頑張って従来以上の力を発揮します」
「うむ」
「そしてこの新型ロボットは競争に敗北します。他のロボットは気持ちよく仕事をします」
「そして？」
「ある日、ぱたりと停止。実に人間的。他のロボットはそれを刺激にしてもっと頑張ります。ライン効率はよりアップ」
「停止したら？」
「引き取ってまた新型を入れます」
「じゃ一台、置いていって」
「ありがとうございます」
（一台納入成功。敗北型ロボットの狙いは製品回収期間を短くすること。半永久的寿命のロボットばかりだと商売にならないからね）