大義と高貴

－俺は兄が嫌いだ
「裏を統べるのが気に食わないか？俺のいる表に焦がれるか？これは一族の掟。文句なら俺でなくあの穢れに言え。」
－俺は兄が嫌いだ
「下等な女と婚約？全く理解できん。一応、お前も我が一族。女の血筋は気にしろ。」
－俺は兄が嫌いだ
「何であんなエルフと結婚した…！父よ！穢れし血が我が身に流れているなどおぞましい…！」

あの男は俺を貶める。
あの男は俺の妻を侮蔑する。
あの男は俺の己の母を穢れ扱いする。
お前は大義などという名ではあるがあの父が付けただけあって随分と歪んだ大義だ。
お前は表が優位、裏を劣等だと認識しているが
ここはお前と真逆の場所であり最も距離を取れる場所。
父親似のお前の顔を見なくて済む。
お前だって母似の俺の顔を見なくて幸福だろう？。
俺は高貴。裏社会でも高貴な生まれだと忘れずにあれとの意が込められた母が与えし名。
お前の様に名の意味を屈曲せずに在ってやろう。