泡あめ

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とある神社のお祭り。いろんな屋台が並ぶ境内で僕はパパと逸れてしまった。
ふと見つけた参道脇の細い道に入ると、一軒の屋台があった。
「やあ坊や。泡あめいるかい?」
屋台のおじさんが僕に言った。周りには他に誰もいない。
「泡あめ?わたあめじゃなくて?」
「ああ。甘くて美味しいよ。特別にタダであげる」
「いる!」
「泡あめはね、しゃぼん玉を作る要領でこの筒に息を吹き込むんだよ」
僕は言われたとおり、筒を咥え、息を吹き込んだ。すると、筒の先からしゃぼん玉のように泡が出て膨らんだ。すごいと思ったのと同時にだんだんと気力が吸い取られていくような感覚があった。まるで体が泡に吸い取られているかのようだ……。

屋台の男は地面に落ちた泡あめを拾い、店の裏に隠された棚に飾った。棚に並んだ泡あめの中には、小さな子どもがフィギュアとなっている。
また一つコレクションが増えたと、屋台の男はニヤリと笑った。
ホラー
公開:24/09/01 23:58

雪宮冬馬( 日本 )

Yahoo!でのログインがどうもできないので新たに作りました。
20代男。趣味でショートショートを書いてます。
夢は「坊っちゃん文学賞」受賞!

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