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友人の佐和君が、両手一杯の小銭を持って家に来た。
「これ買い取ってくれない? 使い切れなくて」
見ると、何の変哲もない十円、五十円、百円の硬貨だった。彼は言った。
「あぶく銭だよ、これは勝手に増えるんだ。見ろよ」
確かにテーブルに置いた小銭の山が少し膨らんでいた。
「贋金じゃないだろうな?」
佐和君は首を振った。
「いや、造営局のエラーでできたのを集めただけだから問題ない。俺は古銭商から手に入れたんだ。買ってくれるなら古銭商の請求書をお前に回すよ」
訊けば大した額ではないので買う事にした。
早く使わないと弾けると注意されたので、あぶく銭で借金を返し、余ったお金で久々にビールと寿司を買った。お金は使ってもすぐ勝手に増えるので喜んでいた。
ある日、古銭商からの請求書が大量に届いた。驚いて佐和君を呼び出すと、事もなげに言った。
「ああ、あぶく銭の請求は、あぶく請求書で来るんだ」
「これ買い取ってくれない? 使い切れなくて」
見ると、何の変哲もない十円、五十円、百円の硬貨だった。彼は言った。
「あぶく銭だよ、これは勝手に増えるんだ。見ろよ」
確かにテーブルに置いた小銭の山が少し膨らんでいた。
「贋金じゃないだろうな?」
佐和君は首を振った。
「いや、造営局のエラーでできたのを集めただけだから問題ない。俺は古銭商から手に入れたんだ。買ってくれるなら古銭商の請求書をお前に回すよ」
訊けば大した額ではないので買う事にした。
早く使わないと弾けると注意されたので、あぶく銭で借金を返し、余ったお金で久々にビールと寿司を買った。お金は使ってもすぐ勝手に増えるので喜んでいた。
ある日、古銭商からの請求書が大量に届いた。驚いて佐和君を呼び出すと、事もなげに言った。
「ああ、あぶく銭の請求は、あぶく請求書で来るんだ」
SF
公開:24/09/01 23:54
はじめまして。田丸先生の講座をきっかけに小説を書き始めました。最近は、やや長めの小説を書くことが多かったのですが、『渋谷ショートショート大賞』をきっかけにこちらに登録させていただきました。
飼い猫はノルウェージャンフォレストキャットです。
宜しくお願い致します
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