エンジェルリング

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「ゆづ兄、私18歳になったよ」
「まあまあ。大学入ったら変わるって」
 なんだいつも通りか。合格祝いだとバーに連れてきてもらったから期待したのにな。
 幼馴染のゆづ兄が、ずっと好き。だけどグラスを上る炭酸の泡みたいに、この気持ちはいつも流される。
 なにか爪痕を残したい。ゆづ兄のビールグラスに残るエンジェルリングみたいな――
「決めた。私、飲み屋でバイトする」
「え?」
「それでハタチ過ぎたら、ビールに詳しくなる」
 今はビールとソフトドリンクだけど、ビールとビールで乾杯する。その頃には見た目や雰囲気も変わって……ううん、変える。どんどん変化する私を無視できないようにしてみせるんだ。
 まずはエンジェルリングが残りやすいビールのいれ方ができたら、ちょっと株上がるかな。
 そんな計画を組み立てていたら、キョトン顔のゆづ兄と目が合う。だから、現時点で一番色っぽい(つもりの)角度で笑っておいた。
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公開:24/09/01 22:58
更新:24/09/01 23:11

丸綿あむ

ハッピーエンドが好きです!

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