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その日、僕は初めて泡の月を見た。
僕の人生はうまくいかないことばかりだ。運動会の徒競走は毎年ビリだし、高校受験も大学受験も第一志望にはことごとく落ちた。最近の就職活動だってお祈りメールばかりだ。
「ほっほっほ。ケイくんは神様なのかねぇ。そんなにいろんな人から祈られるなんて」
「ばあちゃんはひとの気持ちも知らないでよく言うよ」
ばあちゃん家の縁側で団子を食べていたとき、ふと上を見ると、ふわふわと泡のように宙に浮かぶ月があった。
月……? いや、ふわふわしたこの動きはあり得ない。
その動きはまさしく風に揺られるシャボン玉そのものだった。
ばあちゃんにも伝えたが、どうやら見えていないようだ。
「そういえばこの地域の言い伝えでな、泡の月を見た者は神様になる素質があるらしいよ」
「そっか」
ふわふわ漂う泡の月が音もなく弾けた。
僕はいつの間にか笑顔になっていて、モヤモヤした気持ちも弾け飛んでいた。
僕の人生はうまくいかないことばかりだ。運動会の徒競走は毎年ビリだし、高校受験も大学受験も第一志望にはことごとく落ちた。最近の就職活動だってお祈りメールばかりだ。
「ほっほっほ。ケイくんは神様なのかねぇ。そんなにいろんな人から祈られるなんて」
「ばあちゃんはひとの気持ちも知らないでよく言うよ」
ばあちゃん家の縁側で団子を食べていたとき、ふと上を見ると、ふわふわと泡のように宙に浮かぶ月があった。
月……? いや、ふわふわしたこの動きはあり得ない。
その動きはまさしく風に揺られるシャボン玉そのものだった。
ばあちゃんにも伝えたが、どうやら見えていないようだ。
「そういえばこの地域の言い伝えでな、泡の月を見た者は神様になる素質があるらしいよ」
「そっか」
ふわふわ漂う泡の月が音もなく弾けた。
僕はいつの間にか笑顔になっていて、モヤモヤした気持ちも弾け飛んでいた。
ファンタジー
公開:24/09/01 22:52
泡
泡の月
Yahoo!でのログインがどうもできないので新たに作りました。
20代男。趣味でショートショートを書いてます。
夢は「坊っちゃん文学賞」受賞!
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