あの子は泡になってもかわいい
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「いつもは飲まないで帰るのに、今日はどうしたんだよ」
幼馴染が苦笑しながら、俺のグラスにビールを注ぐ。
五杯目だ。飲まなきゃやってられない。今朝、妻と喧嘩したのだ。
情けない唸り声をあげながらグラスに口をつけて、首をかしげる。
「これ、さっきのと違うビール?」
「うん。『飲んだら家に帰りたくなる優しい泡』ってキャッチコピーらしい」
ふと、口の周りにビールの泡がついている気がした。
拭おうとしても、なぜか泡が逃げているような感覚がある。
「お前、なんか犬みたいなモコモコの泡がついてるぞ」
「犬……」
妻との喧嘩は、一緒に暮らしている犬が原因だった。
俺も犬の散歩をしたいのに、妻が先にしてしまうのがズルいという、誰かに話すのも恥ずかしい平和過ぎる理由。
かわいい我が家の犬を思い出すと、口元から「わんっ」と聞き慣れた声。
散歩をねだるかわいい声だ。気づいた時には、俺は店を出ていた。
幼馴染が苦笑しながら、俺のグラスにビールを注ぐ。
五杯目だ。飲まなきゃやってられない。今朝、妻と喧嘩したのだ。
情けない唸り声をあげながらグラスに口をつけて、首をかしげる。
「これ、さっきのと違うビール?」
「うん。『飲んだら家に帰りたくなる優しい泡』ってキャッチコピーらしい」
ふと、口の周りにビールの泡がついている気がした。
拭おうとしても、なぜか泡が逃げているような感覚がある。
「お前、なんか犬みたいなモコモコの泡がついてるぞ」
「犬……」
妻との喧嘩は、一緒に暮らしている犬が原因だった。
俺も犬の散歩をしたいのに、妻が先にしてしまうのがズルいという、誰かに話すのも恥ずかしい平和過ぎる理由。
かわいい我が家の犬を思い出すと、口元から「わんっ」と聞き慣れた声。
散歩をねだるかわいい声だ。気づいた時には、俺は店を出ていた。
その他
公開:24/09/01 22:31
Twitter@N_natsuo
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