あわわわ
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このままでは遅刻しそうだと、男は焦っていた。今日は朝から大事な顔泡せがあるのだ。男は大泡てで駅への道を駆けた。若い頃、陸上で鍛えた足だ。泡よくば、ひとつでも前の電車に乗りたいと思った。駅に着くと、泡い色の服の老婆が、両手に手荷物を持って、ホームへの長い階段を見上げていた。男は、老婆の荷物と自分の鞄と、泡せて三つの荷を持って、老婆を背負い階段を一気に駆け上がった。すでにホームに止まっていた電車に、老婆と荷物を押し込むと、すぐにドアが閉まった。窓越しに老婆が手を泡せて男を拝んだ。男は軽く手をあげて老婆に応えた。その瞬間、男は、自分もその電車に乗りたかったのだと思い出した。ドアのガラスに映る男の顔は泡をくったようであった。もうとても顔泡せには間に泡ない。男は会社に電話をした。顛末を話せば許してくれるだろうと泡く期待したが、上席からはひどく叱られた。せっかく必死に走ったのに、全てが水の泡となった。
その他
公開:24/08/31 00:17
更新:24/08/31 13:45
更新:24/08/31 13:45
泡
クラフトビールコンテスト②
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