新薬

散歩中、前の男性達が口論を始めた。
すると､､､1人が泡を吹いて倒れた？！
駆け寄るも、連れの男性は落ち着いている。

「いつものことだから」

困惑している私の前で、倒れた男性の口から泡がまるで固形物のようポトッと落ちると、男性は何事もなかったかのように起き上がったのだ。

「またやっちゃったかぁ、悪い」
「俺よりこの人だよ」

開いた口が塞がらない私に、彼は言う。

「コレ被験中の新薬なんですよ」
「えっ、薬､､､なんですか？」
「私、いつもカッとなって余計なことを言ってしまうんです。でもコレを飲んでおけば口から出る前に泡にして止めてくれるんです。毒物で倒れてるように見えるでしょ？お陰で社内でもイジられキャラに変わり、円滑に仕事が運び助かってます。」

そう話し、彼等は会社へ戻っていった。

「もしこんな薬が巷に出回ったら､､､」

呟く私の後ろで、また人が倒れ叫び声が聞こえる。