鵜飼漁

旅先で、鵜飼漁が見られる場所があると聞いたので尋ねてみた。
芝生の広場に、鵜飼らしき男と3匹の鵜がいる。

「では、漁をご覧にいれます」
「あれ？水辺に行かないんですか？」
「それは鵜に魚を取らせて、吐き出させる漁ですね。
この鳥は鵜ではなく、鵜っ！です」
「鵜っ！ですか？」
「はい、似ていますが別の鳥です。漁の仕方も異なります」
男は大きく息を吸うと、両手を口に添えた。
「わっ！！！」
男が突然大きな声を出した。
すると鵜っ！はアワアワワという鳴き声を出した後、
ウッ！と言いながら、くちばしから大きな泡を吐き出した。
「これは何ですか？」
「鵜っ！は大声に驚いて泡を食ったのです。
その泡を飲み込ませず、吐き出させるわけです」

ここの地ビールはこの泡を使っているそうだ。
ビールの泡を口に入れた瞬間、
大声で怒鳴られたような刺激が口の中に広がった。
思わず鵜っ！と叫んでいた。