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(あの人は朝凪によく映える薄紫色の煙になった
私はそれがちぐはぐな姿のように思えた
でも、やっと本来の姿に戻れたのだろう)
(あの人の棺の中には何ひとつ残っていなかったらしい)
あの人の紡ぐ言葉はいつも綿毛のようだった。
風が吹けばどこかへ。
アスファルトの上へ。
昼寝をする猫の柔らかな背中の上へ。
誰かの肩へ。
すぐどこかへ行ってしまい、二度と戻っては来ない。
たまたま私の服に引っかかっていた言葉を思い出す。
「私は楽しみを最後に取っておきたいのです」
ショートケーキの上の苺を皿の端に移しながらそう言った。
こんな綿毛がなんの役に立つ?
過去作
私はそれがちぐはぐな姿のように思えた
でも、やっと本来の姿に戻れたのだろう)
(あの人の棺の中には何ひとつ残っていなかったらしい)
あの人の紡ぐ言葉はいつも綿毛のようだった。
風が吹けばどこかへ。
アスファルトの上へ。
昼寝をする猫の柔らかな背中の上へ。
誰かの肩へ。
すぐどこかへ行ってしまい、二度と戻っては来ない。
たまたま私の服に引っかかっていた言葉を思い出す。
「私は楽しみを最後に取っておきたいのです」
ショートケーキの上の苺を皿の端に移しながらそう言った。
こんな綿毛がなんの役に立つ?
過去作
青春
公開:24/08/28 23:56
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