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夏休み。暇な僕は家の近くの海にやって来た。特にすることはないけど、毎日泳ぎにきている。一通り泳いだ後、木陰に置いた水筒の麦茶を飲みに行った。

普段は人がいないけど、今日は太ったおじいさんが日光浴をしていた。髪は真っ白だ。脇にはビールジョッキが置いてあるけど、何か様子が変だ。泡がもくもく動いている。不思議そうに見ていると、おじいさんがむくりと起き上がった。

おじいさんは笑顔で僕を手招きした。おもむろに遠くの入道雲に手をかざすと、ぶちりと雲をちぎった。そして僕の水筒の麦茶にぽんと雲を置いた。びっくりして雲を見ていると、おじいさんがビールを飲んだ。僕も麦茶を飲んでみると、雲がビリリと痺れて刺激的な味がした。

おじいさんの口の周りに雲のもこもこした髭ができていた。どこかで会ったような気がするけど、思い出せなかった。その後クリスマスソングが流れる頃、僕はおじいさんの正体に気付いたのだった。
ファンタジー
公開:24/08/29 23:00
更新:24/08/31 23:22

たかきだ ほむら( 夜と昼のあわいに )

べんきょうちゅう。

ショートショートガーデン コンテスト クラフトビールコンテスト 【ハーフパイント賞】

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