はなむけ 3

1
2

つづき


私から見たあの人はまったく利口ではなかったし、的外れな綿毛ばかりを飛ばしていた。

「君は正直者ですね
何が君をそうさせるのでしょう」

問い掛けか独り言か分からない小声でボソボソと話す。
私は、あの人の唇の端を見ながら宙に浮かんだ綿毛をしていた。


そうだ。
私たちはずっと二人でいた。
二つで居られた、そのはずだった。
あの人の棺の中に燃えかすが残らなかったことのようにそれは当たり前だったあの人がいつの日か見たという夢の話をした。
突拍子もなくて子供のように 歌うように話していた。
あれは綿毛なんかじゃなかった。
何故かそれを今思い出した。


窓の外にある空が薄桃色に染まっているように見えた。

あの人が私を勝手に決めつけるので私も自分勝手を推しつけよう。

きっとあの人にとって馴れ合いですらなかった、
私にとっての思い出の場所へ
花を捧げに
青春
公開:24/08/29 00:00

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