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叔父が経営する会社の株主を辞めたいと申し出たところ、週末にパーティを行うので是非、と招待された。今後の付き合いもあるため、無下には断れない。当日、俺は手土産を持参して訪問した。叔父はピカピカの笑顔で出迎えてくれた。
「首を長くして待ってたよ。さぁ、こっちだ」
と、その時のことだ。照明が落ち、渡そうとした手土産がうばわれた。犯人は元陸上部の俺の追跡を余裕でかわし、行方をくらませた。
「叔父さん、俺の能力不足で取り逃がしました。申し訳ありません」
リビングの照明が復旧し、周囲の様子が明らかになる。そこには俺の手土産を抱えた従兄弟の姿もあった。
立ち尽くす俺に握手を求めながら、従兄弟は言った。
「専務の座は俺がもらったよ。今日限りで引退……いや、これまでの功績を考えたら勇退だな」
辞めるつもりではあったものの、最後にしてやられた。悔し紛れについた悪態は、盛大な拍手にかき消された。
「首を長くして待ってたよ。さぁ、こっちだ」
と、その時のことだ。照明が落ち、渡そうとした手土産がうばわれた。犯人は元陸上部の俺の追跡を余裕でかわし、行方をくらませた。
「叔父さん、俺の能力不足で取り逃がしました。申し訳ありません」
リビングの照明が復旧し、周囲の様子が明らかになる。そこには俺の手土産を抱えた従兄弟の姿もあった。
立ち尽くす俺に握手を求めながら、従兄弟は言った。
「専務の座は俺がもらったよ。今日限りで引退……いや、これまでの功績を考えたら勇退だな」
辞めるつもりではあったものの、最後にしてやられた。悔し紛れについた悪態は、盛大な拍手にかき消された。
その他
公開:24/08/25 11:59
☆やコメントありがとうございます✨
以前のアカウントにログインできなくなってしまい、つくりなおしました。
清流の国ぎふショートショート文芸賞 入選
ときどき短編〜長編も書いています(別名義もあります)
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