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失恋して塞ぎ込んでいると、部屋の扉が遠慮がちにノックされた。
「陽子、お兄ちゃんだ。開けてくれ」
「励ましとかいらないし。ほっといてよ!」
「陽子の仇を取ってきたんだ」
「仇!?」
驚いて扉を引くと、ぼろぼろになったお兄ちゃんが倒れ込んできた。胸には見覚えのある剣を抱えている。静ひつな青い輝きを放つ剣――間違いない、私をこっぴどく振った勇者の持ち物だ。
「お兄ちゃん、彼は? まさか倒したの?」
「あぁ、俺たち魔族の威厳を見せつけてやったんだ」
「そんな……」
確かに魔族である私と勇者の彼では釣り合いが取れない。だからこそ二人で過ごす時間は貴重だった。そこそこ痛めつけて、ほどよく生かしておくつもりだったのに。
「お兄ちゃん、ひどいよ………」
「そう思うなら、この剣を持ってあいつを迎えに行け」
「どういう意味?」
「あいつはまだ生きてる。走れ、陽子」
私は聖なる剣を受け取り、生家を飛び出した。
「陽子、お兄ちゃんだ。開けてくれ」
「励ましとかいらないし。ほっといてよ!」
「陽子の仇を取ってきたんだ」
「仇!?」
驚いて扉を引くと、ぼろぼろになったお兄ちゃんが倒れ込んできた。胸には見覚えのある剣を抱えている。静ひつな青い輝きを放つ剣――間違いない、私をこっぴどく振った勇者の持ち物だ。
「お兄ちゃん、彼は? まさか倒したの?」
「あぁ、俺たち魔族の威厳を見せつけてやったんだ」
「そんな……」
確かに魔族である私と勇者の彼では釣り合いが取れない。だからこそ二人で過ごす時間は貴重だった。そこそこ痛めつけて、ほどよく生かしておくつもりだったのに。
「お兄ちゃん、ひどいよ………」
「そう思うなら、この剣を持ってあいつを迎えに行け」
「どういう意味?」
「あいつはまだ生きてる。走れ、陽子」
私は聖なる剣を受け取り、生家を飛び出した。
ファンタジー
公開:24/08/22 08:27
☆やコメントありがとうございます✨
以前のアカウントにログインできなくなってしまい、つくりなおしました。
清流の国ぎふショートショート文芸賞 入選
ときどき短編〜長編も書いています(別名義もあります)
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