うさぎの家族

僕は昔、都会の進学校に通っていた。
友人はおらず、周りは皆ライバル。勉強ばかりで息が詰まる。毎日が辛かった。
そんな僕を助けてくれたのがうさぎの家族だ。
耳たれうさぎが僕の手を引く。「鼻たれ小僧を連れて来たぞ」と。
涙でぐしゃぐしゃだった僕にうさぎの家族は暖かくしてくれた。
「辛かったら逃げていい。俺達はそうやって生きてきた」と、うさぎの父さんが言った。
「二兎を追う者は一兎も得ず。貴方の得意を第一に伸ばせばいいのよ」と、うさぎの母さんが言った。
聞けばうさぎは、自分の得意分野で生き残る術を学ぶ為に学校に通っているらしい。
僕もうさぎの学校に通わせてもらい、僕の生きる術を学んだ。
自信のついた僕は都会へと戻ってきたが、うさぎの家族のいない寂しさに死んでしまいそうになり、うさぎの家族のもとに戻った。
今の僕はうさぎの子ども達に生き残る術を教えている。
僕の得意分野は、都会仕込みの詐欺である。