同窓会
7
3
「オタク」
この言葉が市民権を得たのはいつからだろうか。
当時、アニメにハマっているなんて公言しようものなら差別される時代。皆に晒され、男からは侮蔑され、女からは忌避される。言えるわけがなかった。
だから俺は標準的な男を貫いた。野球が好きで、女が好きで、ゲームもやって、ただ話を合わせていた。勿論、部屋は2次元のグッズで溢れていた。ここまで隠し通せたのは我ながら凄い。
四十路の同窓会。初めて参加するが、今となってはどうでもいい。あえて俺はセーラームーンの格好で会場を訪れることにした。
「けんちゃ~ん!元気だった!?」
「けんちゃんだ!久しぶり!」「似合ってるね!」
「けんちゃんやっと自由になれたんだね!」
「自由?」
俺は咄嗟に聞き返した。
「みんな知ってたんだよ、けんちゃんが『オタク』だってこと」
そうか、知ってたのか。その時、俺の幻想は泡となって弾けた。
この言葉が市民権を得たのはいつからだろうか。
当時、アニメにハマっているなんて公言しようものなら差別される時代。皆に晒され、男からは侮蔑され、女からは忌避される。言えるわけがなかった。
だから俺は標準的な男を貫いた。野球が好きで、女が好きで、ゲームもやって、ただ話を合わせていた。勿論、部屋は2次元のグッズで溢れていた。ここまで隠し通せたのは我ながら凄い。
四十路の同窓会。初めて参加するが、今となってはどうでもいい。あえて俺はセーラームーンの格好で会場を訪れることにした。
「けんちゃ~ん!元気だった!?」
「けんちゃんだ!久しぶり!」「似合ってるね!」
「けんちゃんやっと自由になれたんだね!」
「自由?」
俺は咄嗟に聞き返した。
「みんな知ってたんだよ、けんちゃんが『オタク』だってこと」
そうか、知ってたのか。その時、俺の幻想は泡となって弾けた。
青春
公開:24/08/21 04:10
更新:24/08/21 22:56
更新:24/08/21 22:56
2023/10/19に参戦した新参者です。忌憚のないコメントお待ちしております。
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