茄子の田楽

果物なら梨、野菜ならナス。
夏のご馳走の鉄板だ。ナスはいい。揚げても焼いても味噌汁もいい。漬物だって最高だ。色変わりが早い気難しさも高貴なお姫様の様でいい。

そんな中どう扱っていいのかわからない奴がいる。米ナスだ。大きく皮も硬そうで、揚げるにしても焼くにしてもどう切るのが良いのかわからない。そもそも米ナスって？渡米して帰ってきた？帰国子女か？国際結婚済みなのか？そんな妙な反感をどこかに持っていた。

だがある時、茄子田楽に出会ってしまう。

米ナスを二つに割り、切り込みを深く入れる。甘辛い味噌をたっぷり乗せ素焼きにする。じっくりと水分が器に見立てた硬い皮の中でぷつぷつと沸騰し、乗せた味噌の表面が少し焦げるまで焼き上げる。

肉厚な身がとろけ、味噌の香ばしい香りが口いっぱいに広がる。甘辛さに箸が止まらない。
確かに米ナス。この美味しさを満足するまで食べるにはこれしかない。私は和解を告げた。