魔泡の夜をあなたに

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ヒタ…ヒタ……

新月の夜、深い森に囲まれた湖の上を一人の魔泡使いが素足で歩いている。
エメラルドグリーンの湖面に真珠色の魔泡の杖を滑らせる彼女の表情はとても穏やかで、さらりとしたブロンドヘアは夜風で揺れ、ミッドナイトブルーのローブの上を流れ星みたいに走る。彼女が湖に描いているのは魔泡陣。撫でるように彼女と杖が通り過ぎた湖面からは、黄金色の細かな泡が後から後から沸き起こり、幻想的な模様が底知れぬエメラルドの上に描かれていく。

魔泡陣が完成すると魔泡使いは陣の真ん中へ静かに佇み、杖を星空へ高く掲げて呪文の詠唱を始めた。ブクブクと騒ぎ出す黄金色の泡たち。最後に、頭上へ現れた一際大きな泡を杖で弾くと一斉に泡が舞いあがって結集し、黄金色に輝く泡ドラゴンとなって夜空へ飛翔した。
月のない夜空に泡ドラゴンが咆哮すると、口から飛び出した黄金色の泡が星のように輝き、満月の夜よりも空を眩く照らした。
ファンタジー
公開:24/08/17 14:28
更新:25/03/09 10:29

花笑みの旅人( 気の向くまま )

作品を開いてくださりありがとうございました~。
もし気が向いたら、また遊びに来てください♪

しばらく投稿はお休みします。

2025.3.25

 

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