バブルスナイパーバブル

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立体駐車場の屋上で煙草を吸っていると、依頼人の車が横付けされた。
助手席の窓が開き、老獪そうな男が顔を見せた。「忙しいらしいな」
「まあね。芸人LもアイドルVも俺がやった」
「知らんな」
「タピオカも高級食パンも俺だ」
男が嘲笑う。「セコい仕事ばかりだ。お祖父さんが泣くぞ」
「時代が違うさ」俺は軽薄に鼻を鳴らした。
俺の爺さんもスナイパーだった。
フィーバーを起こしている人や土地、スマッシュヒットを飛ばしている商品に訪れるバブル。様々な立場からこのバブルを割ってくれという依頼は多い。
近頃、俺はその才能を開花させ、すっかり売れっ子だった。腕はあのバブル経済のバブルを割った爺さんと比べたって遜色ない。
「で、何バブルを終わらせたい?」
パンッと音がして俺を包んでいたバブルが弾けた。
男の手にはピストルが握られていた。「少し儲けすぎたな」
油断した。俺が好景気に浮かれちまうなんて、ざまあない。
SF
公開:24/08/20 16:11
更新:24/08/23 09:03

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