泡を着る世界

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感染症対策のため、外出時には泡を身にまとうことが政府により決定された。この泡は特殊な素材でつくられている。弾力性は抜群なのに耐久性があり、細菌やウィルスは通さないが空気は通すので、機能性も抜群だ。
さらに、泡を脱ぐときには特殊な溶液で割るだけで良いので、廃棄の手間も不用。雨を弾くため傘は不用だし、満員電車でも泡の効果で密着できないため、痴漢防止にもなっている。
泡の人気は一気に爆発した。
メーカーも工夫を凝らし、様々な色や形が取り揃えられた。ベーシックな無色透明の卵型が一番人気だが、若者たちには薄青や薄赤といった有色バブルで細身のシルエットの人気が高い。もちろん、子供たち用にキャラ物の泡も用意されている。
一流ブランドも続々とバブル業界に参入した。デザイナーによって様々な奇抜な泡が作られ、バブル・ショーも開催された。
不況だった日本は一気に景気が回復した。
まさにバブル景気だった。
SF
公開:24/08/19 21:12

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