バブルと私

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お風呂場で、もふもふの白い泡を見つけた。頭を撫でると、嬉しそうに指先を舐める。かわいい❣ 私はバブルと名付けて飼うことにした。バブルは甘えん坊。朝、目覚めると石鹸の香りが鼻腔をくすぐる。「コラッ」と布団をめくると、慌てたバブルが飛び出してくる。また夜中に潜り込んだのだ。私は泡まみれの布団に苦笑い。ひとりで留守番をする時は、小さく萎んで寂しそうにアピールする。かわいそうだけれど仕方ない。帰宅すると玄関で飛びついてきて、石鹸の香りのオシッコをまき散らす。夜はソファでくつろいで、バブルをもふもふ撫でつつドラマを観るのが、何よりのリラックスタイム。いたずら心で脇腹をコチョコチョしたら、バブルが床を転げ回る。それでも構わずコチョコチョコチョコチョ…続けていると、パーン‼泡が弾けて飛び散った。えっ、うそ⁉ バブル、どこ⁉私が涙目で呼ぶと、ソファの下から小さな泡が1つ、ぷよぷよと転がり出てきた。
ファンタジー
公開:24/08/15 11:26

尻野ベロ彦( 東京 )

3児を都内のインターナショナルスクールに通わすサラリーマン。
子どもの頃「将来の夢は小説家」と言っていました。
「note」にも、細々と500字程度のショートショートを書いています。
https://note.com/sirino

【トピックス】
・第16回「1ページの絵本」入選
・第20回「坊っちゃん文学賞」佳作
・プチコン5 ~遊園地~ 優秀賞

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