バブル世代
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「おれたちは所詮バブル世代だからよう」
と部長はぐちをこぼしながら、ビールに口を付けた。若者には夢物語だが、日本が世界一の金持ちで、大手企業は内定者を海外旅行に連れていく時代があったのだ。
彼らはかき集められた世代なので、もちろん能力は低い。それでも同期生の多さもあり、扶助会のように出世していった。
そうした彼らも、順次役職定年を迎えている。若者は少し嫌味を言いたくなった。
「バブルが弾けても、会社から弾けなくて良かったですね」
ビールを注がれた部長は、意味を理解しないまま、うんうんと頷く。そして一気に喉の奥まで流し込む。
「バブルは弾けているようで、意外と残っているものだ」
部長のジョッキに残った小さな泡が、ゆっくりとジョッキの底に向かって落ちていく。
「そして、この底にへばりついているのがオレだな。いい時代を過ごさせてもらった」
部長は、空のジョッキを見ながらしみじみと語った。
と部長はぐちをこぼしながら、ビールに口を付けた。若者には夢物語だが、日本が世界一の金持ちで、大手企業は内定者を海外旅行に連れていく時代があったのだ。
彼らはかき集められた世代なので、もちろん能力は低い。それでも同期生の多さもあり、扶助会のように出世していった。
そうした彼らも、順次役職定年を迎えている。若者は少し嫌味を言いたくなった。
「バブルが弾けても、会社から弾けなくて良かったですね」
ビールを注がれた部長は、意味を理解しないまま、うんうんと頷く。そして一気に喉の奥まで流し込む。
「バブルは弾けているようで、意外と残っているものだ」
部長のジョッキに残った小さな泡が、ゆっくりとジョッキの底に向かって落ちていく。
「そして、この底にへばりついているのがオレだな。いい時代を過ごさせてもらった」
部長は、空のジョッキを見ながらしみじみと語った。
その他
公開:24/08/12 20:12
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