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シュ…シュ…

夜中にトイレで目覚めると屋根から妙な音が聞こえた。私は物音をたてないよう細心の注意を払いながらベランダへ出る。

シュ…シュシュ…パチッ!

何かの割れる音と同時に「あ゛っ」という声が聞こえて思わず屋根の上を覗き込むと、光る泡に囲まれたアライグマのような生物と目が合った。

「ウォッシュシュ…オイラは妖怪・泡磨き。日中に子供達の飛ばしたシャボン玉を集めて、月夜に磨くのが趣味なのさ」

泡を持った両手をあげて威嚇しているつもりらしいがどう見てもファンシーだし、独特な笑い方のせいで全然怖くない。数秒見つめあった後、泡磨きは再びちょこんと座り泡を磨き始める。時折磨き過ぎて泡を割るが、概ねリズミカルに磨く音が心地よくて私は次第に眠りに落ちた。

パチッ!

泡の割れる音で目覚めると、龍のように連なる磨き抜かれた泡たちの背に乗って、私は泡磨きといつの間にかに朝焼けの中を飛翔していた。
ファンタジー
公開:24/08/14 15:46
更新:24/09/01 10:40
シャ盆踊りがあったら 誘いたい妖怪第一位 …を狙ってる!! ウォッシュシュ!

ネモフィラ(花笑みの旅人)( 気の向くまま )

読んでくれてありがとう!

寒い季節になったから、気が向いた時にふらりと立ち寄ってゆるーく投稿しています。

 

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