競泡

スタジアムに集まった子ども達がシャボン玉を飛ばして遊ぶ。
会場がシャボン玉でいっぱいになると同時に選手達はシャボン玉へと手を伸ばす。
バブルクライミング。シャボン玉を登り、空を飛ぶドローンにタッチをするというボルダリングの上位種目。
選手達は掴むと一瞬で消えるシャボン玉をどんどん登っていく。
命綱なんて当然ない。命の危険が伴う競技だ。
早速一人の選手が１０ｍほどの高さから落ちていく。その選手をレスキューの腕章をつけた子どもの大きなシャボン玉が包む。
頑丈なシャボン玉によって地上へと降ろされる選手。あの選手はここでリタイヤだ。
なんて思っていると私の隣にいた選手が手を滑らせ、地上へと落ちていく。
高さ５ｍ。今からでは救助シャボンは間に合わない。
私はその選手の体を掴み、シャボン玉を足場に地上へと降りる。
私もこの選手もリタイヤとなってしまったが、私の行動に会場は割れんばかりの拍手に包まれた。