空中テレビ

遊びに行った昔からの仲のいい友人の家に落ちていたテレビのリモコンの電源を押した途端に頭の上から音が聞こえ始めた。
上を見ても何もないようだったが場所を変えて別の角度から見ると驚くほど薄いテレビが空中に浮かんでいることがわかった。
そこに友人がやってきた。
「お、人の家に来て勝手にテレビをつけるなんて変わってないなぁ。どうだ？そのテレビ。」

何やら友人の知り合いで極薄テレビの開発をしている人がいて、試供品として、何台かくれたそうだ。
とても薄いので軽く、宙に浮くらしい。

「まだいくつか浮かんでるんだぜ？」
よく見るととても薄いテレビが何台も浮かんでいた。電源を入れないとガラスのようなので見つけることは至難の業だ。

「空耳っていうのは風で飛ばされてしまったこの極薄テレビから聞こえてることがほとんどらしいぞ。」

そうだったのか。実際に極薄テレビを見た僕はなんだか納得してしまった。