豊穣の女神(前)
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北に向かって歩いている。
歩き出してからどれほどの時間が経ったのか定かではない。
数日なのか、あるいは数十年なのか。
いずれにせよ、もう歩くことには倦んでいるのだ。
北に向かえば豊穣の地があり、そこに辿り着きさえすればもう誰も飢えることなく平穏に暮らせる――
その伝聞だけを頼りにひたすら歩いてきた自分の信念を、今となっては疑わざるを得ない。
歩けど歩けど代わり映えしない曇り空の下、目の前に広がるのは荒れ果てひび割れた褐色の大地。
「豊穣」の気配など露ほども感じられないではないか。
これまで感じたことのない不信感、焦り、そしてひたひたと押し寄せる絶望感に、私は初めて歩みを止めた。
引き返そうにも今更戻れない。いつからか思い出せないほどの長い年月、ここまで進んでしまったのだから。
後ろを振り返っても、そこにも荒涼とした地平線が広がるばかりだ。
歩き出してからどれほどの時間が経ったのか定かではない。
数日なのか、あるいは数十年なのか。
いずれにせよ、もう歩くことには倦んでいるのだ。
北に向かえば豊穣の地があり、そこに辿り着きさえすればもう誰も飢えることなく平穏に暮らせる――
その伝聞だけを頼りにひたすら歩いてきた自分の信念を、今となっては疑わざるを得ない。
歩けど歩けど代わり映えしない曇り空の下、目の前に広がるのは荒れ果てひび割れた褐色の大地。
「豊穣」の気配など露ほども感じられないではないか。
これまで感じたことのない不信感、焦り、そしてひたひたと押し寄せる絶望感に、私は初めて歩みを止めた。
引き返そうにも今更戻れない。いつからか思い出せないほどの長い年月、ここまで進んでしまったのだから。
後ろを振り返っても、そこにも荒涼とした地平線が広がるばかりだ。
ファンタジー
公開:24/08/10 19:44
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