お気に入りの家電について

今でこそ小型化が進み、スマホやパソコンでも気軽に聞けるラジオだが、昔は電源を必要とする家電だった。
台所では母がラジオをよく流していたし、父は仕事場に延長コードを伸ばしてまでラジオを聞く。
ラジオの何が楽しいのだろう？楽しむのなら絶対にテレビがいい。音だけでなく映像も流れるのだから。
そんな考えを改めたのは私が風邪を引き学校を休んだ時の事。
当時はスマホなんてないし、部屋にテレビもない。寝て過ごすには退屈な時間が流れる。
そんな時、母が風邪薬と一緒にラジオを持ってきてくれた。
流行の音楽とパーソナリティとリスナーの掛け合い。目を閉じていると、頭の中に映像が浮かんできた。
そうか。ラジオって目で見なくても映像がイメージできるんだ。
ラジオに耳を傾ける。睡魔がやってきて、頭の中の映像の世界に私を連れてきてくれた。
その日を境にラジオの魅力にとりつかれた私はハガキ職人を経て、今や放送作家である。