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ドリンクメニューに書かれていた「泡」を注文した。
グラスの中には生ビールのクリーミーな泡が山盛り。液体はどこにも見当たらない。
泡に手を伸ばし、そっと指先で触れた瞬間、自分の周りの景色が変わった。
見たこともない奇妙な街にいた。地面はゆっくりと揺れ、空には巨大なドーム状に透明な薄膜が広がり、その向こうに泡がぎっしり浮かんでいる。地面の角度により、隣の泡の中の街や人が見える。
一つの泡がパチンと割れた。
いつのまにか隣にいた住民が言った。
「泡が消えるとその中にあったものも消えてしまう。いずれすべての泡は消える運命なのだ。消えた泡の中の世界は、また別の泡の中で新しく生まれ変わるのだ」
その言葉に安堵しつつも、何か得体の知れない感覚が胸を締めつけた。
いつか、この街を包む泡が消える時が来たら、元の世界に戻れるのだろうか…。
石を拾うと、この世界の端を目指して歩き出した。
グラスの中には生ビールのクリーミーな泡が山盛り。液体はどこにも見当たらない。
泡に手を伸ばし、そっと指先で触れた瞬間、自分の周りの景色が変わった。
見たこともない奇妙な街にいた。地面はゆっくりと揺れ、空には巨大なドーム状に透明な薄膜が広がり、その向こうに泡がぎっしり浮かんでいる。地面の角度により、隣の泡の中の街や人が見える。
一つの泡がパチンと割れた。
いつのまにか隣にいた住民が言った。
「泡が消えるとその中にあったものも消えてしまう。いずれすべての泡は消える運命なのだ。消えた泡の中の世界は、また別の泡の中で新しく生まれ変わるのだ」
その言葉に安堵しつつも、何か得体の知れない感覚が胸を締めつけた。
いつか、この街を包む泡が消える時が来たら、元の世界に戻れるのだろうか…。
石を拾うと、この世界の端を目指して歩き出した。
ファンタジー
公開:24/08/11 16:24
詳しくは
https://lit.link/HyodoIzumo
・ソニーミュージックのドラマ原案コンテストにてグランプリ受賞。ドラマ化。
・第20回光文社ショートショートYomeba!で優秀作
・エブリスタ超・妄想コンテスト年間選出数11位(2021年)
・ショートショートnote杯GetNaviWeb賞受賞。
・第21回島根県民文化祭文芸公募 散文の部銀賞。
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