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綺羅びやかな宮殿の開けたテラスで、王はいつものように籐籠に横になった。日も傾きつつある午後の午睡の時間である。若い王の精悍な浅黒い顔は目元にまだあどけなさを残している。両脇には二人の侍女が控えていて檳榔の扇で王をあおいでいた。柔和な表情であおぐ優雅なリズムに乱れはない。すでに3刻もあおぎ通しだというのに疲れた様子はなかった。その二人の侍女の脇にはやはり二人の中年男性が控えていた。侍女に時給500円で雇われた中年男性である。半裸の中年男性は体中から汗を吹き出し、ふうふう言いながら侍女を団扇であおいでいた。家では腹をすかせた妻と子が待っている。このくらいの労働、たいしたことない。
その他
公開:24/08/11 02:28
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