運も実力の内

幼馴染の智也は運がいい。近所の駄菓子屋で当たり付きアイスを買うと、高確率で”あたり”と書かれたものが出る。
「日頃の行いが良いからな」
それは否定しない。
智也は優しくてカッコいい。皆の頼れる兄貴って感じだ。
それに比べ私はどうだ？
こんな田舎で一生を終えたくないと都会に出たはいいが、半年も経たずに帰ってきてしまった…
今も職探しの真っ最中。そんな中、気晴らしにと智也が散歩に誘ってきた。
「まあ、元気出せよ。これやるから」
智也がアイスの棒を渡してくる。
それには当たり前のように”あたり”の文字。と、智也の字が書き足されていた。
『来年”あたり”結婚しよう』
智也を見つめる。答えは決まってる。
「不束者ですが、よろしくお願いします」

これはのちに知った事だが、智也が優しくてカッコ良かったのは私に好かれたいが為だったらしい。
そうして培われた実力が運にも波及し、当たり棒を引き寄せたようだ。