花火と乾杯

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 夜7時、祭りが久しぶりに解禁され、夜空に最初の花火が打ち上げられた。地方の小さな祭りのエンディングだったが、それでも人々は川沿いの会場に集まっていた。ある人は浴衣で、ある人はTシャツで、ある人はネクタイで参加のスタイルは様々だった。その中で気になる観賞グループがあった。彼らはガラスのジョッキでも、祭りのクリアな透明ケースでもなく、大き目の透明なガラスコップを持ちビールを注いでいた。

 面倒なことをする人達だなと思い最初は気にしなかったが、花火が打ち上げられると様相が変わった。会場は暗い中で、花火が光る度に手元が明るくなった。彼ら8人は、8つの注いだグラスを高く空に掲げ円陣を組んだ。打ち上げられた花火がグラスの液体を七変化させたのだ。それぞれが、打ち上げられた花火で変わったそれぞれの色を中央に合わせて乾杯した。中央に集められた8つのグラスは南総里見八犬伝に伝わる八犬士の玉光に見えた。
その他
公開:24/08/07 11:21
更新:24/08/07 11:21

源 匠( 茨城県日立市 )

ショートショート大好き黄金の神泡修行者です。究極のテイストを求めて日々精進しています。「黄金の水」「神泡」にかんぱ~い。人類の発明に Cheers!!

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