名画でショート024『聖マタイの召命』(ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジョ)
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部屋に入ってきた男には、不吉な予感が漂っていた。その男が入った来た瞬間に、部屋の中は恐怖と緊張に包まれた。
部屋に入ってきた男は、「マタイ」を呼び出した。この呼び出しに応じたら、碌な運命は待っていない。そう予感させるだけの空気を、この男は持っていた。
手前の2人の若者は、いにも「マタイが誰だか分からない」という顔をした。老人たちは部屋の奥に陣取り、その男を目を合わせないように顔を伏せた。
残されたひとりの若者に、部屋に入った来た男は指を突き付ける。
「貴様がマタイだな。いや、マタイになるべく選ばれた男だ」
絶望にうなだれる若者に、男は押しつけがましく、祝福を与える。
「喜ぶがよい。貴様には永遠の命が与えらえるのだから」
往々にして、面倒ごとは意思の弱い人間が押し付けられる。
マタイと呼ばれる男が殉教する数十年前の話である。
部屋に入ってきた男は、「マタイ」を呼び出した。この呼び出しに応じたら、碌な運命は待っていない。そう予感させるだけの空気を、この男は持っていた。
手前の2人の若者は、いにも「マタイが誰だか分からない」という顔をした。老人たちは部屋の奥に陣取り、その男を目を合わせないように顔を伏せた。
残されたひとりの若者に、部屋に入った来た男は指を突き付ける。
「貴様がマタイだな。いや、マタイになるべく選ばれた男だ」
絶望にうなだれる若者に、男は押しつけがましく、祝福を与える。
「喜ぶがよい。貴様には永遠の命が与えらえるのだから」
往々にして、面倒ごとは意思の弱い人間が押し付けられる。
マタイと呼ばれる男が殉教する数十年前の話である。
その他
公開:24/08/06 21:17
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