対岸の火事

８月６日。私にとってはただの登校日。
この日は広島に原爆が落とされた日である。
教室に入り、友達と他愛もない話で笑い合う。
スマホに目を落とせば、海を挟んだ国で戦争が激化する様子が映し出される。戦争による犠牲者が出生者数を越えたと嘆いている。
私はそれを現実として受け止められないでいた。原爆だってそうだ。
７９年も前。祖父や祖母よりも上の世代の話。
戦争体験を聞いたところで、ピンとこない。
窓の外に目を向ける。ぎらつく太陽。あのまぶしい光に隠れて爆弾やミサイルが飛んでくるのだと思うとゾッとする。が、実感はない。
平和ボケと言われればそれまでだ。私は戦争を知らない。知りたくない。
それを今日の戦争講習の後で担任に伝えた。
「戦争を一生知らずにいられたら、それは君の一生が君にとって平和だって証拠さ」
それでいいのだろうか？と、思う。
じゃあどうしたらいいかなんて答えを、私は持ち合わせていない。