流水禁止の国

水不足に悩まされているとある国では、王の独断で驚きの法律が定められた。
「来月から流水を使うことを禁じ、蛇口から出る水を泡に変える！」
国内にある家や店など、全ての蛇口から流水ではなく泡が出るようになった。
当然のように国民の不満は爆発。
「かわいた喉を潤せない！」
「料理するのも一苦労だ！」
「泡風呂はもうあきた！」
毎日、王に向けて抗議の声が上がった。
そこで、流水を取り戻すべく一人の男が立ち上がった。
「もうこの手しかない。多少乱暴だが、今回は許してくれ」
なんと男は、王の家に火を放ったのだ。
王は燃える家を見て、あわてて消防車を呼んだ。
「急げー！　早く火を消せー！」
しかし、消防車のホースから出たのは大量の泡だった。
「な、なんと……」
数分後に偶然大雨が降って火は消えたので、被害は最小限にとどまった。
だが、すぐに国内の蛇口から再び水が流れるようになったのは言うまでもない。