セレモニー

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月明かりに目が慣れると、徐々に周囲の光景が浮かび上がってきた。

これは夢だろうか?私は草原の中、遺跡のような場所に佇んでいる。

祭壇の上には、うす桃色の宝珠が置かれている。

夜の闇の中、月の光を受けてちらちらと輝く珠はまるで生き物のようだ。

祭壇を囲んで三人の女が跪いている。白い紗を重ねた薄いローブを纏うその姿は、巫女か女神官のように見える。

女たちの髪に飾られた金色の冠には、祭壇の宝珠と同じうす桃色の珠がはめ込まれている。

今まさに祭壇の真上に月が昇り、その光を一身に受けて宝珠が輝きを放つ。
同調するように、女たちの冠の珠も内側から柔らかな光を発した。

「あなたのものです」
女たちが祭壇の宝珠を恭しく捧げ持ち、私の頭上に載せられていたらしい冠に嵌め込む。
私の全身はうす桃色の光に包まれ、「私」という個の意識はゆるく溶けていく。

私は男だが、良いのだろうか?
ファンタジー
公開:24/08/09 11:58

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