「雷雨」「庭園」「シャープペンシル」

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 どうやらうたたねしていたらしく庭園のベンチで目覚めた私は大きく伸びをした。頬に雨粒があたり近くの温室に避難した。遠くで雷鳴が聞こえる。雷雨になるらしい。どうしようかと考えていると男が温室に入ってきた。「災難ですねえ」と男は言った。うなづくと続けた。「こりゃあしばらくはやみませんよ。夜半過ぎまで降り続けるかな」「それは困るな、夕方までには帰らないと」「濡れるのを気にしなければ帰れるけど、雷に打たれでもしたら厄介ですよ」「たしかにそうだが、そんなことめったにあるまい」「私は気象鑑定師なんですよ。ですからあなたがもし本当にこの雷雨の中帰るのでしたらこれを差し上げます」男はシャープペンシルを取り出した。「これは?」「避雷針ですよ、これを頭の上にかざすと雷は避けます」私は半信半疑だったがシャープペンシルをもらうと温室を出た。近くで凄い音がした。身をすくめシャープペンシルをかかげると足早に後にした。
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公開:24/08/08 05:16

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