２０２４年８月７日の話

今日、私の勤めるドラッグストアに変な客がやってきた。
その客は汗だくで大量の目覚まし時計を抱えている。
その上、店にある栄養ドリンクをありったけ購入しようとしている。
売り上げを考えるとありがたいが…薬剤師としては、この人の健康が心配だ。
栄養ドリンクを飲みすぎると、カフェイン中毒を始めとした害が体に出てくる。
漫画家だろうか？週末にはコミケだし、最後の追い込みをかけようとしているのかもしれない。
だが無理は禁物だ。少しでも眠った方がパフォーマンスは向上する。
だからおせっかいとは思いつつも、声をかけさせてもらった。

「…店員さん。今日は８月７日、立秋です。だから俺は今から、秋を叩き起こしに行きます。秋が目を覚ましてくれたら…秋が起きたら、この暑さも少しはマシになると思うので」

私はカウンターの下から発売前の強力な目覚まし薬を出すと客に渡し、「頑張ってください！」と応援して送り出した。