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「あ、そこの皿しまっといて~」
「はいっ!」

ーガチャーン!!
ーーパラパラ………

手が滑り厨房の床へ勢いよく叩きつけられた白い皿は、大小様々な破片となって飛び散ると、刹那、大輪の花を咲かせて極彩色に煌めき、儚げな音と砂塵のように消えていった。

「皿花火、綺麗でしょ?」

一瞬の出来事に私が固まっていると、店長がそう言って笑った。

「…皿、花火…?」

まだ動揺している私に店長は「説明するより見た方が早いな」と、近くの皿を手に取り床へ落とした。

ーガチャン!
ーーパララ……

先程のように皿は床で弾けて花開くとすぐ、跡形もなくまた消えた。

「お昼時とか忙しくてうっかり皿を割っちゃうことあるけど、危ないし片付けも大変でしょ?うちの皿は落としても花火みたいに弾けて消えるから安心だよ」

厨房に咲く皿花火は、今後もおっちょこちょいな私の勤務時にガチャンとド派手に一枚咲きそうだ。
その他
公開:25/02/07 07:54
更新:25/02/11 09:04

ネモフィラ(花笑みの旅人)( 気の向くまま )

作品を開いてくださりありがとうございました~。
もし気が向いたら、また遊びに来てください♪

 

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