いちごとバーキン

愛子は言う。「私、来月、誕生日なの。」
人への贈り物はいつも迷う。
無難な物を贈っても、決して喜ばれない。
高価な物を贈っても、売られて、感謝はされない。
「ありがと。」と言われ、微笑まれ、内心ではほくそ笑んでいる。

真は言う。「いつも、ありがと。」
そんな言葉をかけるが、内心は不安だらけ。
愛子の心が離れていくのが怖いから、金でつなぎ止めようとする。
ただ自分が不安を和らげたいからである。

愛子はいちご。
甘そうに見えて、甘すぎない。
そんな、ちょっとした厳しさが真を揺さぶる。
いつの間にか、バーキンを買って贈る。

いちごとバーキンは違うようで同じ。
バーキンを贈っても感謝はされない。
自分の思い込みで贈っても、ただのおせっかい。
いちごはミルクを求めている。

最善は人の求めてるものを贈ること。
それが出来たら、真も愛子も幸せ。