僕のバレンタインデー

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今年もバレンタインデーが近づいて、正直こんなイベントなくなればいいと思っていた。でも、それを言ったら世の中から袋だたきにあうだろうな。

そんなふうに思いながら、今年も迎えたバレンタイン当日。
思いがけず、部室の前で僕は可愛らしい包みを渡された。
「あの、これ」
隣のクラスのSさん。恥ずかしそうに、両手で持った包みを僕の前に差し出している。
「え、僕?」
彼女が頷く。かわいい。なんてかわいいんだ。僕は手が震えそうだった。落ち着け自分。やっと受け取り、
「ありがとう」
と言おうした時、彼女のほっとした笑顔が見えた。
「お願い、これ名取君にそっと渡してほしいの」
そう言うと彼女はその場から小走りで立ち去った。
名取は僕のバスケのチームメートだ。彼はたしかにいい奴だしかっこいい。でも、他の学校に彼女がいる。

包みを持ったまま僕は困惑していた。Sさん、僕じゃだめかな。僕ならフリーなんだけどな。
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公開:25/02/10 10:08
更新:25/02/10 11:50

ジャスミンティー

2023年10月から参加しています。作品を読んでいただき、ありがとうございます。

最近noteへの投稿も始めました。よろしかったら、そちらもご覧ください。エッセイ、短歌なども載せています。https://note.com/real_condor254 
 

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