風邪を引くなら月曜日

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 金曜日の夜に熱が出た。
 こんなことなら早退しておけば良かった。たとえ今の状態が避けられないとしても、これからやって来る休日をただ無駄に過ごす虚しさを、僅かばかりは埋められただろうに。台風や祝日が土曜日に来るような、そんな虚しさ。
  数々の努力も空しく熱は上がり続け、午前三時には身体が内側から燃えるような熱さに襲われた。一時間もすると本当に全身が燃え盛り、俺は業火に包まれた。焼け死ぬと思ったが束の間、炎は羽の形を作り出し。俺は燃え盛る一匹の鳥になった。夜が明ける前に部屋を飛び出し、暗闇の大都会に羽ばたいた。
 もはや翼と呼べるそれをはためかせるごとに、飛び散った火球が東京中を炎の園へと塗り替える。もちろん俺の会社も含まれている。ああ、これで3連休にはなるかな。
 やがて俺はさらなる炎を求めることもなく、人々が逃げ惑うスクランブル交差点に降り立ち、ゆっくりと眠りにつくのだった。
ファンタジー
公開:25/02/09 23:42

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